そこには見たこともない世界が広がっていた

 とても綺麗で、輝きのある世界だ

 でも、ここは本当に俺の居場所じゃない


 何か足りないんだ

 何か大切なものを忘れているんだ


 抜け出そうと思っていても体が言う事を聞いてはくれない



         真実の夢=2003,08,07=




 いつのまにか3年ほど経っただろうか。

 俺は、それなりの成績で高校までやって来た。

 中学とは雰囲気が違う高校生活。少し大人びてみるが俺は何も変わらない。


 もちろん俺には欠かせないテニスを続けながらね。

 中学と変わらない先輩達でも、みんなの眼は何処か遠くを見つめている。

 それぞれの未来のために・・・・・。

 


 俺の隣には、誰も居ない。

 
 居て欲しい人も居ない。

 
 




























 




 「ただいま」

 いつもと変わらない。これが俺だよね。

 カルピンが俺を迎えてくれた。軽く頭をなでると、気持ちよさそうに鳴いた。

 玄関を入って居間を覗くと、親父が寝ていた。





 
 この人は、やりたいことをしてきたのだろうか。


 自分の思い通りに人生を歩んできたのだろうか。



 
 
 ああ



 俺は、何をやっているのだろうか。


 好きなことは、もちろんしている。
 
 大好きなテニス。体中が震えるようなスリルのある試合。

 見上げれば上に人だって居る。

 追いつけないから、追いつこうとしている。


 俺は、まだやることが山ほどある。

 










 まだ何か物足りないと思っている。












 「親父」

 
 「・・・なんだ?」

 「起きてたんだ」

  
 「そりゃ可愛い息子に話しかけられたら、一発で起きちゃうってもんだよ」

 
 「親父は、」

 「?」


 「親父は、やりたいことをしてして来た?」

 「なんだ、急に・・・」




 「思い通りに人生を生きてきた?だから此処に居るの?」



  
 「な〜にを言い出すかと思えば、そんなことかよっ」


 「そんなことって」



 「あんなぁーリョーマ。おめぇ、やりたいことって何よ」


 「テニス」



 
 「じゃあ、いいじゃねぇか。やりたいことやってるじゃねぇか」

 

 









 「親父に相談した俺がバカだった」








 「なんだと!?」



 「そーんなこと俺だって分かってるよ。

  やりたいこと?テニスだけだよ。

  今はテニスだけだ。俺は今、テニスをやっている。今の俺だよ」








 












 










 ちがうんだよな。




























             

 2階に行くとカルピンがついて来た。
 

 「カル」


 
  な〜う



 「俺、何が物足りないのかな」



  う?



 

 これからも、ずっとテニスだけをやっていくのかな

 それでも良いけどさ



 夜空を見上げれば、東京のくせに今日は星がいっぱいだった

 輝いていた。

 

 「・・・あん中に入りたい」





 

 






 「ぁ」





 窓の外を見ると、俺の家の前をクラスメイトの女が通ったのが見えた。

 どうしたものかウロウロと歩いている。


   がらっ





 

 「ねぇ」




 「!?」













 どーして黙んの・・・
















 「「なに、」」













 「「そっちから」」



 「ふ。あんたってでしょ」

 
 高校に入学1日目、クラスに一際キラキラする女が居たなって思って、顔覚えの悪い俺でも

 あんただけ覚えてたんだ。

 あんただけだ。男子もまともに覚えてないってのに。


 「(ふ!?)そ、そうだけど」



 「何してんの」













 

 俺がそう聞いたら、はポロポロと涙をこぼしはじめた。


 「え゛」









 「越前リョーマ・・・あんたっ、私のこと知ってる・・・?」


 「だってクラス同じでしょ。それだけだよ。」




 そしたらはペタンと地面に座り込んだ。

 上から見ると小さな女の子が、迷子になってお母さんって泣いているようだった。

 俺はしばらく2階から見つめていた。














 は泣き止まなかった。

 でも決して大声で泣いているわけでもない。

 近所迷惑になるって止めに行くって程でもない。

 
 声を押し殺して、肩を震わせ懸命に・・・泣いていた。

 
 俺は何をすれば良かったのだろうか?

 すぐ傍に行って「泣かないで」って慰めれば良かったのだろうか?

 そんなこと俺に出来やしないさ。

 






 俺はいつの間にか眠りについてしまった。


 すごく気持ちが良かった。

 この頃、練習もきついし中学と変わんない部長が居て、マネ(仮)で乾先輩が居た。

 不二先輩は居なかった。

 中学卒業と共にテニスも止めたらしい。

 でも時々、様子を見に来てくれる。その度に俺は一試合、申し込む。

 腕は鈍っちゃいない不二先輩には、まだ勝てない。


 にゃろう



 いつになったら俺は、1番になれんだろ。

 まずは部長に勝たないとね。そんで次に、親父かな。

 いつも親父はふざけてばっかだけど、本気になったら誰も勝てない。これだけは自信を持って言える。

 


 微かに目覚めると、隣にはが居た











 俺、疲れすぎだな。


 なんでが居るんだ。























 眩しい光が俺を襲った。まだ夢の中の俺を。
 
 
 誰かが居る。



 泣いている。



 綺麗な滴が頬を伝って、俺の顔に零れ落ちた。


           『りょう、ま・・・』





 え?





              『リョーマ!!!!』






 誰かが俺を呼んでいた。





 
 誰かが来た。

 手塚部長?なんで此処に・・・

 ああ
 
 
 俺は一体どうしたんだろう。












 

 悲しみが多すぎて、自分を失った。









 







































 ・・・此処はどこだ。

 
 やっぱり隣にはが居た。現実かな

 
 「おはよう」


  おはよ



 「リョーマ?」



  え



 「どうしたの?」



  なにが



 「?」




  こそ、どしたの


 「・・・!!!」


  そんなに驚いて、おっかしい顔




 「うっ、ぁっぁっ・・・く」


  また、泣くし














  
 俺、声でてる?















 


  これは夢だ―――――――・・・・・・









































 夢だった。


 




















 良かった












 怖かった






















 俺は、足りないものが何か気がついたんだ。







 





 ありがとう







 それはだったんだ。













 でも、まだ言ってやんない。











 
 朝の日差しが差し込んだ。
 
 俺はベットに横になっていた。汗をかき、苦しそうにしていたらしい。

 いわゆる「熱」ってやつ。


 看病は親父がしていたらしいが、俺は違うと思う。

 だって、こんなにもの事で頭がいっぱい。

 嘘、つかないでよ。




 俺が素直になろうか




 なるまいか。










 それは今日、学校であったら気分で決めてやる。

 は、どんな顔をするだろう。


 面白そうだ。





 
 ・・・やっぱり素直には、なれそうにない。

 
 今日はなんて気分がいいんだ。


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  此処にきて展開、早っっ
               2003、09、07 いち




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